ブラックフォレスト・チョコレートケーキ・インペリアルスタウト: ケーキにもビールにも、愛は見つかる!
まず、お店のメニューボードにこの長いビールの名前を小さい字で詰めて書かなければならない飲食店の皆様に、深くお詫び申し上げます。今回はこの長い名前がどこから来たかについて、お話ししたいと思います。
今は退職していますが、僕の父は元プロのシェフで、ル・コルドン・ブルーというフランスの料理とホテルホスピタリティの専門学校で教授をしていました。ル・コルドン・ブルーは1895年にパリで料理学校として始まり、今では世界各地でフランスの高級料理とホスピタリティを教える専門学校となっています。父は長年南オーストラリア州のアデレードにあるキャンパスで教えていました。というわけで僕はシドニーで生まれましたが、アデレードで育ちました。
父はル・コルドン・ブルーのカリキュラムの一環で、学生たちにブラックフォレストチョコレートケーキの作り方を教えていました。ドイツ語では Schwarzwalder Kirschtorte (シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ)、フランス語では La Foret Noire (ラ・フォーレ・ノワール )としても知られていますが、このケーキの名前の由来は諸説あります。ドイツではサワーチェリーから作られたリキュールのシュヴァルツヴェルダー・キルシュヴァッサーにちなんで名付けられたようですが、英語とフランス語の名前は、フランスとドイツの国境にある山岳地帯の名称、ブラックフォレストが由来になっているようです。
伝統的にこのケーキはチェリーリキュールの染み込んだチョコレートスポンジ、クリーム、チェリーの3層になっていて、トップはクリーム、チェリーと削ったチョコレートでデコレーションされています。父は学校の授業でこのケーキを作った後、よく家に持って帰ってきました。父が見本として作ったものもあれば、学生や他の教師が作ったものもありました。いつもは実家にあった食料保存用の大きな冷凍庫に入れておいて、家族の誰かが誕生日の時はいつもこのケーキでお祝いしたものです。
想像していただけるかもしれませんが、僕は家族の誕生日の度に毎回同じケーキが出てくるのにうんざりしていました。思春期の歳になると、自分が誕生日に本当に食べたいケーキは「ブラックフォレスト・チョコレートケーキ」ではなく、実は「ラムレーズン・ベイクドチーズケーキ(また長い名前!来年のビールにしょうかな?!)」だということに気づきました。そこで親切な僕の母は、僕の誕生日にはこのチーズケーキを焼いてくれました。現在日本に住んでいるので、新型コロナウイルスの影響でもう4年ほど両親に会っていません。子供の頃によく食べたブラックフォレスト・チョコレートケーキとラムレーズン・ベイクドチーズケーキを懐かしく思い出します。このビールは父がよく家に持って帰ってきてくれたブラックフォレスト・チョコレートケーキにちなんで名付けられました。
これはTwo Rabbitsのビールでよくある組み合わせですですが、このビールもオーストラリア、ドイツ、UK産のモルトを組み合わせて作っています。強いビールベースを作るため、Two Rabbitsのベースモルトである豪州産クーパーズペールモルトと、UK産シンプソンズ ゴールデンプロミスというペールモルトを合わせました。次に小麦麦芽を足してケーキやパンのようなニュアンスを加えています。だってケーキは結局のところ、小麦から作られていますから!次にクリスタルモルト、チョコレートモルト、ローストカラファ・ブラックモルト、ブラックウィートモルトを加え、インペリアルスタウトの特徴的な色とロースト感を出しています。深煎りモルトの渋みが出すぎるのを避けるため、麦芽を逆浸透膜水に一晩浸し、マッシュプロセスの最後に追加しました。このビールもファックイッツコールドと同じくダブルマッシュで作っており、麦汁がとても濃厚でとろみのあるものになっています。
ホップはコロンブスとヴィックシークレットを使いましたが、苦みを足すためにのみ最小限加えました。ダークモルトに加えて更にチョコレートっぽいフレーバーとアロマを強調するため、発酵の最終段階でカカオニブで「ドライホップ」しています。最後にフルーティーな甘さを足すのに十分なだけの量のチェリーエキスも追加しました。ブラックフォレスト・チョコレートケーキは、チョコレートとチェリーの絶妙なバランスが非常に大事ですが、このビールで僕たちが目指したのはそのバランスです。
最後にこのビールのお勧めの飲み方ですが、それは飲む前に少し温度を上げることです。冷蔵庫から出し、室温に10~15分間置いてからグラスに注ぎます。こうすることでモルト、チョコレート、チェリーのアロマとフレーバーを最大限に引き出すことができます。まだまだ相変わらずクソ寒いですし、バレンタインもあるし、高アルで少し甘いこのビールは今の時期にぴったりだと思います。ぜひお友達や大切な人と一緒に飲んでみてください!もしかしたらこのビールを一緒に飲んだ後、そのお友達はあなたの大切な人になる、かも!笑。
ショーン
Official Specifications:
- Beer Name: Black Forest Chocolate Cake Imperial Stout
- Batch No.: 327.BBFO.1
- Brew Date: 2022/12/14
- Packaged Date: 2023/1/13
- Released Date: 2023/1/19
- Alc: 9.0%
- IBU: 60
- EBC: 120
- Malt & Grain: Pale, Golden Promise, Wheat, Crystal, Carafa III, Chocolate Malt, Black Wheat Malt
- Hops: Columbus, Vic Secret
- Yeast: American Ale
- CO2: 2.3 Volumes
Brewteam’s Notes:
ダイレクトに感じるダークチョコのニュアンスに加え、麦芽由来のキャラメル、ロースト、スモーキーなアロマがある。嗅ぎ進めるとチェリーの香りがほのかに現れて、爽やかな印象に。口に含むとそれらの風味が力強く、複雑に絡み合う。ホップ由来の苦味が甘みを引き締め、心地よい余韻を与える。
Brewteam’s Tasting Notes (English):
- Appearance
- Colour: Black
- Clarity: Slight Haze
- Head: Fluffy
- Carbonation: Medium
- Aroma
- Alcohol: Noticeable
- Hops: None
- Malt: Caramel, Roast, Chocolate, Smokey
- Other: Dark/Bitter Chocolate, Cherry (Slight)
- Flavour & Aftertaste
- Alcohol: Strong
- Hops: Earthy
- Bitterness: Moderate to Aggressive
- Malt: Caramel, Roast, Smoky
- Sweetness: High
- Other: Dark/Bitter Chocolate, Cherry (Slight)
- Palate
- Astringency: Low to Medium
- Body: Mouth-coating
- Length: Medium